四つ眼の幸せ?

 私の住むマンションのドアーをバンバン激しく叩く音がした。訪問者は必ずインターフォンで顔を見せて応答するのが常識である。私は、叩き方が普通ではないので無視をした。

 その後、甲高い声でマンション中に聞こえる大声を張り上げてヒステリックに叫びながら私を誹謗中傷する言葉を吐き続けている。
私はもうだめだ!限界だ!胸の内で叫び、マンションから逃避しなければ私のいのちを自ら引きずる下ろす結果を招く。
遺書を残したクラスでいじめにあっていた優秀な中学生のように。この場所から逃げ出さなければ・・・怒涛のように押し寄せてくる感情を留めようがない。
荷物を整理しよう。不動産屋さんに告げなければ・・・ここから早く飛びださなければ。
私は、恐怖感が走り身震いしながらインターフォンの前にへたり込んだ。

 どのくらいの時間は過ぎたのだろう。マンションの玄関越しに何名かの女性の話し声がインターフォンから聞こえる。
私を誹謗中傷する甲高い笑い声がひと際目立つ女性の声が恐ろしくて立ち上がれず震えが止まらない。
するとインターフォンが鳴り、スイッチを押すとマスクをつけた青年の顔が映った。
「どなたですか?」と尋ねたが、傍らで話す女性たちの声がおおきく名前は聞き取れなかった。青年は片手をあげて「心配をしなくても大丈夫ですよ」と伝えてくれているように見ええた。「女性たちの話に惑わされないで」と合図してくれているようにも思える。青年の暖かい眼差しと敬礼のポーズは私の精神状態の不安定さは私の部屋番号を知らない筈だが、知っていたことに善意に考えすぎかもしれない。しかし、私をひと時でも救い上げてくれた青年の暖かさに涙ぐんだ。

 冷静になってから考えるとその人は警察官だったのではと思うのは敬礼が専門職の印象を持ったからだ。
 女性の叫び声で誰かが、交番に通報したのではと考えた。

 私は、もうこのマンションで生きていく自信はない。
Corona禍が始まって3年以上、私は「保育園を3軒も持ち贅沢に暮らしている」「3階から毎日、監視しているから知っている。毎日綺麗にお化粧をして贅沢な洋服を着て男に会いに行っているのは間違いない」「男が大きなカバンを下げて吉田の部屋に入っていった。主な内容である。
この日より以前に正式に私は、掃除管理員女性より聞き書面にした。この内容について法的に明らかにするときが来ればこのないように隠されていた事実を私は出す覚悟にある。
誰が、この事件の当事者であるかすべて公にして私の名誉回復を主張することになる。私は一刻早くこの場所から逃避しなければ最悪の自死への選択に追い込まれるのではと焦り引っ越しする資金も用意できないままマンションから追われたのである。

※私に誹謗中傷をマンション中に聞こえるように喋った女性はその日か2、3日たっていただろうか。私が電車から降りて来るのを待っていたらしく鼠色のようなどす黒い顔色で私に近づいてきたが。私は、避けて違う道からマンションに帰宅した。

「公園で遊ぶ子どもの声がうるさい」という一人の住民からのクレームの始まりは、長野市青木島遊園地廃止の結論になったが、多くの人たちに疑問を残した。

市長は、一人だけの希望ではないと順序を追って辿り着いた結果だと後に知らせている。

クレームを出した住民も幼い頃は、公園の遊具で遊び、ドッジボール、サッカー、野球、砂遊び、ゴム飛び遊びなどをして楽しんだのではないだろうか。

《児童文学作家の石井桃子さんの言葉》

子どもたちよ/子ども時代をしっかりたのしんでください/おとなになってから/老人になってから/あなたを支えてくれるのは/子ども時代のあなたです。

多くの大人たちは、公園で夢中になって遊び、お母さんの呼ぶ声で一目散に家に帰り夕食を食べ、宿題をしながら、公園の向こう側に見えるとばりにきらめく星を眺めた思い出を持っているのではないだろうか。

子どもの頃、ピュアな感受性を持っていた多くの人々は、corona禍の中、ワクチン問題を確たる情報であるか信頼できる術もなく翻弄され、あらゆる分野で経済活動は中小企業、小規模商店、基幹産業までも停滞と後退を余儀なくされ毎日の生活の厳しさに国民はなすすべもなく、犯罪はあらゆる形で生産されている状況が続く。

子どもも若者も中高年も現実生活を如何に向き合い生きるべきなのか。

私自身も生きる希望を揺らぐのを必死で食い止めようとしているが、何故こんなに辛いのだろう。

2023年3月29日 吉田公恵

三つ眼の幸せ
英語の先生のNickname

 中学校時代、英語科先生のnicknameはWonderful grand Motherと学生たちに人気と尊敬を込めて呼ばれていた。
 白髪の混じった髪を細い首下で纏めgrayのsweaterにgrayの tight skirtがとてもお似合いだ。
 ところが、私は英語の文法が難しく高校生に進級したときロシヤ語クラスを選択した。
ロシヤ語は単語同士の組み合わせで簡単な意思表示ができると思ったが、年月を経てわかったのは高校生のロシヤ語は初歩だったのだと気付いた。ロシヤの文豪トルストーイの重厚且つ壮大な物語を単純なロシヤ語の文法では描けるはずがない。
 ロシヤ語の男性教師は、ロシヤ語民謡を原語で歌い学生たちにも歌わせながら授業を進めるので楽しく哀愁に満ちたロシヤ民謡と授業の楽しさが今も時々、思い出が蘇る。
 結局授業の選択をロシヤ語で英語はなかなか上達せず大阪芸術大学保育科入試英語(ヘレンケラーの日本語訳)とあったので単語から想像力を駆使しながらなんとか切り抜けられた。

 今日は、ある団体の英語教室授業の日、無料に惹かれて通い始めて4回目かな?ところが本日の授業は、別の場所になり道に迷い、ウロウロしているうちに可愛らしい女子高校生に巡り合った。
 土曜日に授業を終えて帰宅途中だったらしくきりっとした小さなお顔にお団子ヘヤーがとても似合う。
彼女に場所を尋ねるとスマホを取り出し、教えられていた〇〇会館がみつかり、向かい側に(大きなお洒落な○○さんの家)もありここまでくると何とか探せるようなので「ここまで案内していただいたからもう大丈夫」と伝えると彼女もまた先に出会った若者たちと同じく最後まで付き添う意思を申し出てくれた。

奈良文化高校に在籍する(たかさだ)という苗字のお嬢さんは言葉遣いも丁寧で優しさに溢れている。

2023年3月  吉田公恵

二つ眼の幸せ

 出会った女性は、天王寺区の鶴橋から上本町に上る路上である。耳に嵌めていたイヤリングのキャッチャーはどうしたことか片耳の分が外れない。キャッチャーは上本町近鉄ユフラビル2階にあるアクセサリー売り場で購入したのだが、片耳だけ刺さったまま外れず二日経て仕方なく購入店に行くと店員さんも心配して天王寺区にある「おおた皮膚科」を探してくれた紙片を持ち「おおた皮膚科」を求めてスマホを頼りにドンドン進み鶴橋駅まで行ってしまった。

 歩き疲れて、何度か入ったことのある鶴橋駅に近い喫茶店で一休みしてまた歩き始めたが、上本町から歩いてきた向かい側の道筋に「おおた皮膚科」があるようである。

「高齢者の一途な思い込みは、時には失敗を自ら手に入れることになる」目安だったコンビニは見つかり中年の女性に聞くと「わからない」という返事。次に若い女性が出て来たので聞くとすぐ歩き始めた。

「あのーおおた皮膚科ってご存じないですか」

「病院までご一緒しながら探しましょう」

さりげなく言う清楚で爽やかな若い女性の申し出に驚き感動を覚えた。

 若い人の足はスピードがある。私はついていくのは精いっぱい。歩きながら会話を交わす中で夕陽丘短期大学食物栄養学科を2023年3月には卒業して兵庫県の保育園に栄養士として就職が決まっているそうだ。

病院に無事に辿り着き、診察が終わるまで待つと申し出てくれたのは高齢の私が、無事に帰宅できるか心配だったのだろう。 正直な気持ちは待っててもらいお食事を御馳走したいと思ったのだが、病院玄関のガラス戸に映る若い彼女の生きる姿勢の美しさに心を打たれ、何時かまたお会いできる日があればと・・・願いながら。続く

吉田公恵

 

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