キム・ビョンス(韓国在住)
中学校に入ると体育の時間があり体育の先生は私の足を気遣い、いつも“見学”です。秋が近づくと運動会の練習がはじまります、思春期を迎え始める私には何とも言えぬ疎外感が私を苦しめます。
“パンパラパーン”と勇壮音が校庭の隅から聞こえてきます。ブラスバンド部が運動会の応援歌の練習をしているではありませんか! 近づいてみると、みんな椅子に座って楽器を吹いています。
“これだ!” 私は思わず喝采しました。これだと足が不自由でも関係なく、私はすぐ担当の音楽先生に私も入部させてくれるようにお願いして私の音楽人生が始まります。
長女の姉が美術の先生として私の学校に赴任してきました。
朝はいつも一緒に登校することになりますが思春期に入ります私は、びっこを引きながら歩く姿が、いつも気になって仕方がありません。私は姉と歩きながら商店街のガラスに映る自身の姿を横目で見ながらすこしでもびっこが正常な歩き方に見える方法がないものかと工夫しながら歩いたものです。商店街のガラス窓が過ぎて失望しながらうつむいて歩く私を姉は注意深く観察していたのでしょう。
“あんた男でしょ! 背中を真っすぐにして歩きなさい!” と、叱りつけます。今思うに姉は障がいに負けず堂々と生きることの出来る人間として私を見守り続けていたのでしょう。
そうして私は楽器をとおして学友とかかわり合い学生生活を送ることが出来ました。(つづく)