喫茶 麓(ふもと)

 東大阪市近鉄瓢箪山駅を降りると角に果物屋があり広場にはタイル張りの噴水用地の淵に腰かける人々を見かけることがある。

 国道方面を目指すと左手に、神田広場があり、毎年桜が大きく枝を伸ばし咲く。右手には油川動物病院があるのでとてもわかりやすく油川動物病院を目指すと喫茶麓がある。

 扉を開けると70代ぐらいの女性3人が、モーニングサービスを頂き終わったのか、何やら楽しそうにお話し中?

 決して広いとは言えない店だが、古民家と言われているらしく、風情が漂っている。天井の梁は黒色で縦横に支えられ、壁際には、スモーキーな色が何とも言えない雰囲気のあるガラス扉が三連に繋がり中身の見えない柄が施されている。年季の入った威厳のある銅板のカウンターにはママさんの丹青のこもったモーニングサービスが出番を待っています。500円

 喫茶麓の歴史は古い、60年を経て店主は二代目だと聞く。床面の赤茶色のタイル張りは、色褪せることなく深い色合いが、美しく残されている。床面を一段上がると4人掛けのテーブル二台並ぶ。
私は、その狭さは嫌いではない。人間同士の息遣いに親しみが湧く。(少しくっつき過ぎかな?) corona禍では生まれなかった人間同士の柔らかさ、親しみやすさを私は好きだ。
客層は、東花園のリージョンセンターで絵画を学び、現在は講師になられた男性の方、70代、80代三人の女性は、新舞踊を習い楽しみ、背筋がピンと伸びて張り、足元からの姿が綺麗だ。

 底の壁には風景画をかけられている。テーブルの上に置かれた上皇后様の若い頃の写真ブックに懐かしさを感じた。

 店主の作るモーニングサービスを、常連客さんが、新しいお客様ヘ運ぶサービスを手伝う姿は、なんだか温かくていい雰囲気。

 店主のママさんは、《みんな家族のような、昔ながらの人情の厚ささが残っている喫茶麓の大切なお客様です。》地域のよりどころと愛情をこめておっしゃる言葉は温かい。

 年齢層の高いお客様のためにモーニングサービスのパンの表面を細かく斜め切りにしているのは、パンの中にバターを染みこむようにとの配慮とパンの淵が固いので歯切れよく食べていただけるようにとママさんの心遣いです。

 多種多様な客層は、昭和42年に7月にオープンされた《レコード店ミヤコ瓢箪山店》の店主の方、市会議員の常連の方2,3人来られることがあるらしく、要望等に耳を傾けてくださるそうです。

 最近では地域の交通手段についてお話をしたと聞く。
若い学生さん、介護士をされている方も最近では増えているそうです。店を出て瓢箪山駅に戻る道、右側沿いに多種多様な花木は、住民の方が持ち寄り景観を保っていたが、最近では放置されているのは住民世帯の若い層が減少しているために、行き届かなくなっているためだと聞いたのだが、現代の日本国の衰退を象徴されているようで寂しく感じるのは私だけでないだろうと思い胸が痛む。

2024年5月23日吉田公恵

error: Content is protected !!